放射線診断部門
放射線科/放射線技術科紹介
医療技術の進歩に伴い、放射線診療技術も高度化と細分化が進み、放射線業務はますます多岐にわたっています。
高度な撮影機器を駆使して患者さんごとに最適と考えられる検査を、迅速かつ正確そして安全に実施し、医療被ばくの低減および最適化を図り、医用画像の管理を行うことは、われわれ診療放射線技師の責務です。
放射線科医1名、診療放射線技師7名、事務1名で、患者さん中心のチーム医療を行うスペシャリストの心得を持ち、スタッフ一丸となって日々の業務を行っています。
また、常に新しい知識・情報・技術を学び習得し、確かな画像を提供できるよう、日々研鑽を積むとともに、積極的に研究活動や学会発表、各種認定資格の取得など、更なる向上を目指しています。
一般撮影
一般撮影とは
一般撮影は、レントゲン検査やⅩ線撮影と呼ばれることもあり、胸部、腹部、骨など全身各部位の撮影を行います。
Ⅹ線という放射線を人体に照射して透過したⅩ線を画像にします。
検査時間は、部位や撮影回数により異なりますが5~10分程度です。
頭部 | 頸椎 | 胸部 | 腹部 |
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当院使用装置
診断用X線装置
株式会社 島津製作所製 RAD speed Pro移動型Ⅹ線装置
株式会社 日立製作所製 Sirius130HPⅩ線平面検出器出力読取式デジタルラジオグラフ
富士フィルム株式会社製 DR CALNEO Smart(FPD:フラットパネルディテクタ)
当院ではフラットパネルディテクタを使用しています。
従来のシステムに比べX線感度が向上し、
放射線被ばくが少なく、より高画質で高精細なX線画像を迅速に提供する事が可能になりました。
また、移動困難な患者さんに対しては移動型Ⅹ線装置にて、病室や手術室で撮影を行っています。
検査を受けられる際の注意点
撮影部位に金属、プラスチックなどがある場合には、外していただく場合があります。
体の向きを変えて撮影を行うことがあります。
CT検査
CTとは
CT(Computed Tomography)検査とは、X線を利用しコンピューター処理する事により、身体の精密な断面像を得る検査です。
検査時間はおよそ5分から20分程度です。
腹部 | 心臓 | 踵骨 |
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当院使用装置
キヤノンメディカルシステムズ社製 Aquilion ONE
1列0.5mm幅の検出器が320列あり、一度に最大16cmの範囲を最短0.35秒で撮影する事が出来ます。
よって、動きのある心臓領域検査でも、これまで以上に短時間で精密な画像を得ることが可能となりました。
また、撮影した画像を補正してクリアにする逐次近似再構成システムを搭載していますので、
従来よりも少ない被ばく量でより精度の高い検査を行う事が出来ます。
CT検査を受けられる際の注意事項
腹部の検査、造影剤を使用する検査は絶食が必要で、主治医から詳しく説明があります。
造影剤投与により、まれにアレルギーを起こす場合があります。特に気管支喘息を患っている方や過去に造影剤アレルギーを起こした事がある方に発症する可能性が高いので、診察時に主治医にお申し出ください。
また、造影剤は尿とともに排泄されますので、検査終了後には普段よりも多く水分を摂取してください。
X線を使った検査になりますので、妊娠をされている方、妊娠の可能性がある方は、基本的に検査を行うことができません。
診察時にお申し出ください。
MRI検査
MRIとは
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)検査は、強力な磁場の中で電波を身体に照射することで体内から放出される微弱な電波を受信し画像化する検査です。
身体の様々な断面や血管の撮影を行うことができます。検査時間は30分~1時間程度です。
脳血管 | 腰椎 | MRCP |
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当院使用装置
キヤノンメディカルシステムズ社製1.5T EXCELART Vantage
最大開口径65.5cm、静音化機能(Pianissimo)の搭載により、比較的静かで開放的な環境で検査を受けて頂くことができます。
MRI検査を受けられる際の注意事項
MRI検査は放射線を使わないので被ばくはありませんが、磁場を使った検査なので体内に留置された金属や医療機器がある方は検査を受けられない場合があります。
以下の医療機器がある方は当院では検査できません。
- 心臓ペースメーカー
- 植込み型除細動器
- 神経刺激装置
- シャントバルブ
- 人工内耳
- 骨成長刺激装置
- 体内金属製異物
- 注入ポンプ(インスリン・インフュージョン)
- 磁石で付着する義眼
- 磁石を使った歯科用インプラント
その他の体内金属については、手術時期や材質の確認が必要となりますので受診時に担当医へお伝えください。
また、刺青(タトゥ、アートメイク)やお化粧、カラーコンタクトレンズなどは人体を傷つける可能性があり、さらに画像に支障をきたす恐れもありますので検査当日は控えることが出来るものはなるべく付けないようにお願い致します。
使用されている場合は検査前に担当技師にお伝えください。なお、妊娠初期の方のMRI検査は当院では受け付けておりません。
X線透視撮影検査
消化管造影検査とは
X線を連続的に照射し、リアルタイムに消化管の観察を行います。
上部消化管(胃・十二指腸・小腸)や下部消化管(大腸)に硫酸バリウムやガストログラフィンなどの造影剤を付着させ、消化管を観察する検査です。
検査の際には、粘膜のひだや腸管の重なりで病変が埋もれてしまわないように空気で消化管を膨らませ、体位変換によって造影剤、空気を移動させながら撮影を行っています。胃や腸を広く観察できるため、病変の場所や大きさ、広がりなどがわかります。
食道 | 胃 |
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検査時間
上部消化管、下部消化管ともに腸管の位置や形状は人によって異なるため、検査時間も個人差があります。
通常検査が始まると20分程度で終了しますが、検査内容によっては更に長い時間を要する場合もあります。
消化器外科造影検査
肝臓・胆のう・膵臓の病変に対して内視鏡やエコーと併用してERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)、
PTGBD(経皮経肝胆のうドレナージ)等の検査や治療を行っています。
また、その他にも消化器外科の各種検査、治療に対応しています。
当院使用装置
キヤノンメディカルシステムズ社製ZEXIRA FPD搭載X線TV装置
FPD(フラットパネルディテクタ)と呼ばれる検出器を搭載しており、従来の装置に比べ大きな視野で歪みのない画像の表示、撮影が可能です。
更に、従来の検出器に比べ、より高解像度の画像が撮影できるようになりました。
キヤノンメディカルシステムズ社製Ultimax-i Cアーム型透視装置
Cアームにより多方向からの透視像観察、撮影が可能です。管球を360度回転させることができ、体位変換が困難な患者さんでも目的部位の観察、性状の確認が行えます。
また、最適透視画像技術、画像安定化処理技術、被ばく低減技術により低線量で高画質な画像が提供できます。
透視検査を受けられる際の注意事項
- 消化管を観察するため、絶食や下剤服用などの前処置が必要です。
- 緑内障、前立腺肥大、心疾患の既往がある方はお申し出ください。
- バリウムは便として排出されるため、検査終了後はなるべく水分を多く摂取してください。
- 妊娠中の方、妊娠の可能性がある方は検査を受けられません。
マンモグラフィ検査
マンモグラフィ検査とは
マンモグラフィ検査は乳房撮影専用の装置を用い受像器(画像情報を集めるパネル)と圧迫板という2枚の板で乳房をはさみ圧迫して撮影します。
検査は専門技術の認定資格を取得した女性技師が撮影をします。
たくさんの範囲が入るよう乳房の位置を調整し、圧迫板でできるだけ乳房を伸ばし薄くします。
それによって、より鮮鋭な画像となり、しこりや石灰化の広がりがわかりやすくなります。
圧迫により痛みを伴いますが、患者さんの様子を観ながら行いますので、安心して検査をお受けください。
マンモグラフィで何が写る?
マンモグラフィでは、乳房内の腫瘤(図1)、石灰化(乳腺内にできるカルシウムの粒で、悪性、良性の場合があります) (図2)、構築の乱れ(病変による正常乳腺の構造のゆがみ)などが客観的に描出されます。
図1.腫瘤 | 図2.石灰化 |
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当院使用装置
当院では、GEヘルスケア・ジャパン社製Senographe Essential/SenoClaireを使用しています。
診断能力の向上と検査時間の大幅短縮により患者さんの負担を格段に低減した装置です。
また、トモシンセシス(3D)が搭載されており、1回の圧迫で異なる角度での連続撮影を行った後、コンピュータで薄いスライス厚の複数断層画像を作成します。
これまで困難であった乳腺の重なりを解消し、より精度の高い画像が得られます。
矢印部に病変があります。
標準撮影(図3)ではわかりにくいものが、トモシンセシス(図4)で病変(乳がん)がはっきりわかります。
図3.標準撮影 | 図4.トモシンセシス(3D) |
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Ⅹ線を使う検査なので被ばくが気になる!
マンモグラフィでは乳房のみにⅩ線をあてるので、そのほかの部位が被ばくすることはありません。
また、マンモグラフィ1回の被ばく線量は、東京とニューヨーク間を往復する飛行機内で浴びる自然放射線量とほぼ同じです。
検査時間は?
通常、更衣・撮影・撮影終了・画像確認まで、およそ15分です。
マンモグラフィを受けられる際の注意事項
次の項目にあてはまる方は、必ず検査前にお申し出ください。
- 乳房に痛みのある方
- 妊娠中の方、または妊娠の可能性がある方
- 心臓ペースメーカを挿入している方
- 植込み型除細動器を挿入している方
- V-Pシャント術(頭部)を受けた方
- 豊胸術を受けた方
- 胸部手術(心臓・肺など)を受けた方
- 制汗剤やパウダーがついていると、乳がんを疑うサインの石灰化に間違われる画像となるため、事前に拭きとってください。
- ネックレス、メガネは破損の可能性があるため、外していただきます。
- 頭髪が長い方は、機械へ挟み込む可能性があるため、まとめていただきます
血管造影検査
当院では、心臓カテーテル検査、経皮的冠動脈形成術(PCI)等を行っています。
心臓カテーテル検査とは
手首、ひじ、足の付け根などにある動脈から、カテーテルと呼ばれる細長いチューブを心臓の近くまで挿入し、心臓に血液を供給している冠動脈に造影剤を注入して画像を撮影します。
冠動脈の狭窄の有無、動脈硬化などの異常を評価します。また、心臓内各所の血圧や心拍出量、血液中の酸素含有量などを測定し、心臓機能の詳細を評価します。
経皮的冠動脈形成術(PCI)とは
狭窄あるいは閉塞している冠動脈を、カテーテルを使用して広げる治療法です。
バルーン(風船)を用いて広げる方法、ステント(金属製のコイル)を血管内に植え込む方法などがあります。
当院使用装置
シーメンス社製Artis oneを使用しています。
複数の可動軸が独立して回転・駆動するため、患者さんの位置を動かすことなく全身の撮影が可能です。
また、最新型のX線管球を搭載し、クラス最高レベルの画像クオリティで撮影する事ができます。
さらに、患者さんの被ばくを最小限に抑えるために、様々な被ばく低減機構を複合的に組み合わせることで効果的な低線量化を実現しました。
造影検査を受けられる方へ
造影検査とは
造影検査とは造影剤という薬剤を注入しながら撮影する検査のことで、透視検査、心臓カテーテル検査で使用、CT検査、MRI検査では医師の判断により使用することがあります。
造影剤を使用することにより、病気の有無や性質、範囲をより詳しく診断することができます。
基本的に安全な薬剤ではありますが、喘息の既往やアレルギー、重篤な疾患がある方は使用できないことがあります。
当院では以下の疾患がある方については造影剤の使用を行っておりません。
- 造影剤アレルギー既往のある方
- 喘息の既往のある方
- 重篤な腎機能障害のある方
- 重篤な甲状腺疾患、心障害、肝障害のある方、マクログロブリン血症、多発性骨髄腫、褐色細胞腫と診断された方(CT検査のみ)
- 妊娠中の方
- 以前、造影剤を使用した際に副作用症状があった方
検査前の食事制限について
CT・MRI検査で造影剤を使用する場合は、予約時間から4時間前までにお食事を済ませて下さい。
また検査前の水やお茶の飲水は可能です。
被ばくについて
一般撮影・マンモグラフィ・胃透視・CTでは、どのくらい被ばくするのですか?
主な検査の被ばく線量は下に示す通りです。検査方法 | 線量(mSv)/回 |
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胸部撮影(一般) | 0.06 |
腹部撮影(一般) | 1.9 |
マンモグラフィ検査 | 2.0 |
胃透視検査 | 4.0 |
CT検査 | 頭部:1.0~3.0 胸部:5.0~7.0 腹部:6.0~15.0 |
日本人平均:1.4mSv
世界平均 :2.4mSv